2012年10月25日 星期四

文/芥川龍之介

沐浴在仲夏的陽光下,雌蜘蛛停在紅色的庚申薔薇(註一)花底,像是專注地在思考些什麼。這時空中傳來翅膀振動的聲音,忽然出現一隻蜜蜂,攻擊性地飛往薔薇花;蜘蛛立刻抬起眼警戒。在這寂靜正午的空氣中,只有蜜蜂揮動翅膀的聲音,微小地在空氣中波動著。
雌蜘蛛靜悄悄地從薔薇花底爬了出來,此時蜜蜂已經渾身沾滿了花粉,正把口器伸入花蕊下滿盈的花蜜中吸食著。
接著是幾秒鐘殘酷的靜默。

在醉心於花蜜的蜜蜂身後,從紅色薔薇的花瓣下突然閃出雌蜘蛛的身影。剎那間蜘蛛猛然跳上了蜜蜂的後頸。蜜蜂則是拼命鼓動翅膀掙扎著,並企圖以身上的尖刺回擊敵人。花粉從搧動的翅膀上落下,在日光的照耀下四處紛飛。
然而,蜘蛛從頭到尾都沒有鬆開咬住的嘴。
鬥爭並沒有持續很久。
不久後蜜蜂的翅膀便漸漸無力揮動,而腳也麻痺起來,長長的口器也出現陣陣痙攣。
結果還是以悲劇收尾──人類最後也是難逃一死,多麼刻薄又悲慘的結局阿。
瞬間後,蜜蜂便伸直了口器、橫屍在紅色的庚申薔薇下,而翅膀與腳全都被香甜的花粉包覆著……
雌蜘蛛則是一動也不動,靜靜地開始吸啜著蜜蜂的鮮血。
毫無遮蔽的陽光,劃開了又重回到薔薇花間的正午的寂寞,照著這殺戮、掠奪般誇耀勝利的蜘蛛的姿態。其腹部酷似灰色的綢緞,予人感覺黑如南京玉的眼,然後如同長癩般、醜陋的一節節僵硬的腳──蜘蛛就如同牠外貌上那般邪惡,自始至終一直陰鬱地壓在死掉的蜜蜂的屍體上。
這樣極致殘虐的悲劇,在之後也會不停地重複發生。但是紅色的庚申薔薇,卻每天在酷陽下美麗且狂野地開著。
──
午後的雌蜘蛛,像是不經意地想到些什麼,爬過薔薇的花與葉間,沿著花枝往上攀爬。先前因土地蒸發出熱氣而凋謝的花苞,與耐不過暑熱而扭曲的花瓣,都散發出香甜的氣味。雌蜘蛛就從那裡往上爬,這次就在那個花苞與枝葉間不停往來。同時有無數全白、帶有光澤的絲,從半枯的花苞,到枝葉的前端,漸漸地絲絲相扣著。
不久之後,便展開一張錐形般的「絹囊」,令人炫目的純白色,經由仲夏的陽光反射回來。蜘蛛從巢中爬上來,在奢華的囊中產下無數個卵。
然後又在袋囊的入口處,織上更厚的墊子坐上去,接著又下方鋪展如同天花板的紗幕,就好像圓頂的建築一樣,僅留下一個「窗口」;這個兇猛的灰蜘蛛把中午的晴空都完全遮蔽了。但是,蜘蛛──產後的蜘蛛,衰弱的身體就這樣躺在寬廣的白色囊袋中央,好像都忘了薔薇花、太陽、蜜蜂翅膀的聲音……那些事了,僅是一隻狀似在埋頭努力沉思的蜘蛛。
數個星期過去。
在那期間,無數個卵沉睡在蜘蛛囊中,現在新的生命終於醒了。比誰都先注意到的,是那隻躺在寬大的白色囊中,斷食而蒼老的母蜘蛛。蜘蛛在絲質的墊下,感受到了新生命的蠢蠢欲動;於是牠開始慢慢地移動虛弱的腳,把隔在母子中間的囊袋咬破,然後無數個小蜘蛛就陸陸續續,從寬廣的囊袋裡溢了出來──或許應該說那張墊子好像化成了數百個騷動的「微粒分子」。
小蜘蛛們馬上爬出「圓頂閣」的窗戶,陽光與風和煦地通過,而庚申薔薇的枝葉也因而傾斜著。牠們一大群聚集在承受著酷暑的薔薇葉上,然後稀奇地往藏著濃郁蜂蜜香氣的層層薔薇花叢裡爬;接著在把藍天切割成一塊塊的薔薇枝間,很快地開始吐著肉眼看不見的細絲。
如果牠們有發出任何一點聲音的話,一定是風吹過這白晝的庚申薔薇所發出的聲音,就如同在樹梢掛了一臺小提琴般。
但是在另一邊的「圓頂閣」的窗前,蹲踞著形單影隻的瘦弱母蜘蛛,即使經過了這麼長時間,卻連一隻腳都沒移動。
這純白囊袋裡的寂寞混著凋謝的薔薇花苞的氣味──就是產下無數小蜘蛛的雌蜘蛛的產房兼墳墓;在紗線織的天花板下,就是讓肩負著天職的母親感到無限欣喜,但也是邁向未知死亡的地方。
──這就是那個咬死蜜蜂、幾乎如同自己外型般邪惡的雌蜘蛛,卻也是個在這仲夏的大自然裡生存的女性。
                                 (大正九年四月)

註一
庚申薔薇:又名月月紅(江蘇浙江)、月月花、長春花(吉林長春)、庚申薔薇,原產於中國中部的貴州湖北四川等地,現遍布世界各地。花大型,有香氣,廣泛用於園藝栽培和切花,被世界各地所喜愛,外形與許多薔薇屬植物相似,英文中就稱為「中國玫瑰」(China Rose),與薔薇雜交後培育出多種五顏六色且花型各異的品種,並被冠以各種名稱。

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芥川龍之介

 雌蜘蛛めぐもは真夏の日の光を浴びたまま、紅い庚申薔薇こうしんばらの花の底に、じっと何か考えていた。
 すると空に翅音はおとがして、たちまち一匹の蜜蜂が、なぐれるように薔薇の花へ下りた。蜘蛛くも咄嗟とっさに眼を挙げた。ひっそりした真昼の空気の中には、まだはちの翅音の名残なごりが、かすかな波動を残していた。
 雌蜘蛛はいつか音もなく、薔薇の花の底から動き出した。蜂はその時もう花粉にまみれながら、しべの下にひそんでいる蜜へくちばしを落していた。
 残酷な沈黙の数秒が過ぎた。
 紅い庚申薔薇こうしんばらの花びらは、やがて蜜にった蜂の後へ、おもむろに雌蜘蛛の姿をいた。と思うと蜘蛛は猛然と、蜂の首もとへおどりかかった。蜂は必死にはねを鳴らしながら、無二無三に敵をそうとした。花粉はその翅にあおられて、紛々と日の光に舞い上った。が、蜘蛛はどうしても、噛みついた口を離さなかった。
 争闘は短かった。
 蜂は間もなく翅がかなくなった。それから脚には痲痺まひが起った。最後に長いくちばし痙攣的けいれんてきに二三度くうを突いた。それが悲劇の終局であった。人間の死と変りない、刻薄な悲劇の終局であった。――一瞬ののち、蜂は紅い庚申薔薇の底に、嘴を伸ばしたままよこたわっていた。翅も脚もことごとく、においの高い花粉にまぶされながら、…………
 雌蜘蛛はじっと身じろぎもせず、しずかに蜂の血をすすり始めた。
 恥を知らない太陽の光は、再び薔薇に返って来た真昼の寂寞せきばくを切り開いて、この殺戮さつりくと掠奪とに勝ち誇っている蜘蛛の姿を照らした。灰色の繻子しゅす酷似こくじした腹、黒い南京玉ナンキンだまを想わせる眼、それかららいを病んだような、醜い節々ふしぶしかたまった脚、――蜘蛛はほとんど「悪」それ自身のように、いつまでも死んだ蜂の上に底気味悪くのしかかっていた。
 こう云う残虐ざんぎゃくを極めた悲劇は、何度となくその後繰返された。が、紅い庚申薔薇の花は息苦しい光と熱との中に、毎日美しく咲き狂っていた。――
 その内に雌蜘蛛はある真昼、ふと何か思いついたように、薔薇の葉と花との隙間すきまをくぐって、一つの枝の先へ這い上った。先には土いきれにしぼんだつぼみが、花びらを暑熱に※(「てへん+丑」、第4水準2-12-93)ねじられながら、かすかに甘い※(「均のつくり」、第3水準1-14-75)においを放っていた。雌蜘蛛はそこまで上りつめると、今度はその莟と枝との間に休みない往来を続けだした。と同時にまっ白な、光沢のある無数の糸が、半ばその素枯すがれた莟をからんで、だんだん枝の先へまつわり出した。
 しばらくののち、そこには絹を張ったような円錐形えんすいけいふくろが一つ、まばゆいほどもう白々しろじろと、真夏の日の光を照り返していた。
 蜘蛛は巣が出来上ると、その華奢きゃしゃな嚢の底に、無数の卵を産み落した。それからまた嚢の口へ、厚い糸の敷物を編んで、自分はその上に座を占めながら、さらにもう一天井ひとてんじょうしゃのような幕を張り渡した。幕はまるで円頂閣ドオムのような、ただ一つの窓を残して、この獰猛どうもうな灰色の蜘蛛を真昼の青空から遮断しゃだんしてしまった。が、蜘蛛は――産後の蜘蛛は、まっ白な広間のまん中に、せ衰えた体を横たえたまま、薔薇の花も太陽も蜂の翅音はおとも忘れたように、たった一匹兀々こつこつと、物思いに沈んでいるばかりであった。
 何週間かは経過した。
 その間に蜘蛛の嚢の中では、無数の卵に眠っていた、新らしい生命が眼を覚ました。それを誰より先に気づいたのは、あの白い広間のまん中に、食さえってよこたわっている、今は老い果てた母蜘蛛であった。蜘蛛は糸の敷物の下に、いつの間にかうごめき出した、新らしい生命を感ずると、おもむろに弱った脚を運んで、母と子とを隔てているふくろの天井をみ切った。無数の仔蜘蛛こぐもは続々と、そこから広間へあふれて来た。と云うよりはむしろその敷物自身が、百十の微粒分子びりゅうぶんしになって、動き出したとも云うべきくらいであった。
 仔蜘蛛はすぐに円頂閣ドオムの窓をくぐって、日の光と風との通っている、庚申薔薇こうしんばらの枝へなだれ出した。彼等のある一団は炎暑を重く支えている薔薇の葉の上にひしめき合った。またその一団は珍しそうに、幾重いくえにも蜜の※(「均のつくり」、第3水準1-14-75)においいだいた薔薇の花の中へまぐれこんだ。そうしてさらにまたある一団は、縦横に青空をいている薔薇の枝と枝との間へ、早くも眼には見えないほど、細い糸を張り始めた。もし彼等に声があったら、この白日の庚申薔薇は、こずえにかけたヴィオロンがおのずから風に歌うように、鳴りどよんだのに違いなかった。
 しかしその円頂閣ドオムの窓の前には、影のごとくせた母蜘蛛が、寂しそうに独りうずくまっていた。のみならずそれはいつまで経っても、脚一つ動かす気色けしきさえなかった。まっ白な広間の寂寞せきばくしぼんだ薔薇のつぼみ※(「均のつくり」、第3水準1-14-75)と、――無数の仔蜘蛛を生んだ雌蜘蛛はそう云う産所さんじょと墓とを兼ねた、しゃのような幕の天井の下に、天職を果した母親の限りない歓喜を感じながら、いつか死についていたのであった。――あの蜂を噛み殺した、ほとんど「悪」それ自身のような、真夏の自然に生きている女は。

(大正九年四月)

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